『利休にたずねよ』 山本 兼一著

利休にたずねよ』 山本 兼一著


そこにある、「美」、の深遠を見出すことで、
人は尊敬され賞賛を浴び寵愛も受ければ、
そこにある、「美」、の何たるかが判らないばかりに、
軽蔑され貶められ下司の烙印を押される。


なんや、その美ぃっちゅうもんは、えろうごりっぱなもんやのぉ〜う!
と茶化してみたくなるのは、なにも私が、愚物ゆえでもなかろう。


何が美しくて、何がそうではないか。
いつの時代でも、こういう判定方には
ある種、特権的な香りがするからかもしれない。


これが完璧な美です、といって、鼻先に突きつけられると
なんだか息がつまってきて、そうかね、わしゃそうとも思えんが、と無下に反論したくなるのが人間の性。
そんなもんより、ほれ、こっちを見なはれ。
この一見ブサイクなこのほころび、
おや?っという、一瞬のスキを突かれて、
見るものに静謐な感動を起こさせはしまいか。
なんてね。


エルメスよりゴヤールの方がイケてると思うしぃ〜、
BMよりあえてのMGのほうがちょい悪で小洒落てるっしょぉ〜とかいうような議論にいきなり、セレクトショップの1点ものこそ一期一会を感じないかね、と切り込み、フリマで見つけたハクション大魔王の壺こそ、昭和のへうげものであろうぞ!
とたたみこんでゆければ、あなたもいっぱしの平成利休。


俗悪な派手好みだが、それも極めれば脱俗、超俗の境地に通じる、そんな秀吉の凄みを見せられて、うなるしかなかった利休と秀吉の美意識対決、今の時代ならさしずめこんな感じ?


ただ、現代では、KYと呼ばれて蔑まれます。笑

利休にたずねよ

利休にたずねよ