2010-01-01から1年間の記事一覧

『六条御息所 源氏がたり 一、光の章』 林 真理子著

『六条御息所 源氏がたり 一、光の章』 林 真理子著 そんで、さっそく、読んでみる。 この本は、「源氏物語」の林真理子訳とかではなく、 源氏物語をモチーフにした語り部風の小説である。 このことをよおく念頭においた上で読まなければならないのが とても…

『誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ』 林 真理子、

『誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ』 林 真理子、 山本 淳子著 録りだめしたビデオ録画を整理していたら、 ちょっと前にNHKでやっていた源氏物語の番組が残っていた。 京都宇治市の「源氏物語ミュージアム」で開かれたシンポジウムで、 林真…

『女徳 』 瀬戸内寂聴

『女徳』瀬戸内寂聴 もし、あなたが女に生まれたのなら、 これほどまでに究極で濃厚な人生を歩んでみてはどうか。 という、理想型を示してくれているのかもしれない。 あれもこれもぜんぶやっちゃって、その旨みも苦味も、 双方ともに、味わいつくしてこそ、…

『さまよう刃』東野圭吾

『さまよう刃』東野圭吾 社会派サスペンスである。 現代版のは、いろいろと考えさせられるけれども、 ストレス解消にはならないということに、いまさらながら気がついた。 ってゆうか、単に、少年法というテーマが 私には少々重すぎただけかもしれないが。 …

『球形の荒野』松本清張著

『球形の荒野』松本清張著 第二次世界大戦と東京オリンピックという二重の時代背景に、 奈良・京都の古寺や家族の絆、父と娘の情愛もからんで、 しっかりと読み応えのあるミステリー。 やっぱり、さすが、ちゃんとしたプロット、書きはるんやわぁ〜と、 あら…

「ディア・ドクター」西川美和監督

「ディア・ドクター」西川美和監督 たしか、以前面白く見たNHKのトップランナーという 番組の中でだと思うが、 西川美和の評す、笑福亭鶴瓶像が、ふるっていた。 「あのひと、みんなにいいひとっていわれてるけど、 あんがいじつはそうでもないんじゃないか.…

『孤高の人』 新田次郎著

『孤高の人』新田次郎著 「ザ・男の小説」という感じ。 甘えも驕りもいっさい許されない、 過酷な世界の美しさに魅入られてしまうと、 ある種の人は、それに対峙するにふさわしからんと 嬉々として己を律することに情熱を傾けてしまう。 一本道の恐ろしさと…

『駅路/最後の自画像』松本清張・向田邦子著

『駅路/最後の自画像』松本清張・向田邦子著 1年ほど前にテレビで見た2時間ドラマ「駅路」。 松本清張の原作で向田邦子の脚本なんて、 あったんだぁ〜と思いながら見始めたら、 深津絵里の凄みとラストシーンの美しい演出に圧倒されて、 うーんと唸ってしま…

『マルガリータ』 村木嵐著

『マルガリータ』 村木嵐著 聖書の「マルタとマリア」の話を基調にした戦国末切支丹の物語。 キリシタン大名とかフランシスコ・ザビエルとか、 キリスト教美術好きで戦国好きな私にはおあつらえ向き!と ワクワクしながら読んでみたら、女として、なんだか非…

『沈まぬ太陽』 山崎豊子著

『沈まぬ太陽』 山崎豊子著 「そん〜なつらいんやったらサッサ辞めたらええがな!」 ってずぅ〜っと思いながら読んでた、と、 この本を貸してくれた友人に言ったら、 「反社会的!」と烙印を押されました。笑 権力とか主義とか、正当とか道義とか、 いっそ、…

『マネジメント-基本と原則』P・F. ドラッカー著

『マネジメント-基本と原則』P・F. ドラッカー著 原著は1974年刊行だから、軽く、30年以上も前の、しかも抄訳版。 日本がまだ、グローバルではなかっただけに、 日本企業におけるマネジメントについては、 わしゃさっぱりわからん的な、 まったくもって不可…

『フリー〜(無料)からお金を生みだす新戦略』 クリス・アンダーソン

『フリー〜(無料)からお金を生みだす新戦略』 クリス・アンダーソン著 たしかに、なにかが無料!になると、人は一瞬、 懐疑的になりながらもちゃっかりそれを懐へいれてニンマリするし、 ひととき、得をした気分にひたりながらも、しばらくすると、 たいして…

『ザ・ゴール-企業の究極の目的とは何か』 エリヤフ・ゴールドラッ

『ザ・ゴール-企業の究極の目的とは何か』 エリヤフ・ゴールドラット著 PCで仕上げた成果物を、せっせせっせと ネットへアップロードしている職業柄か、 工場とか現場なんかをともなう物理的な職業世界を見ると、 思わず、ひざまづいてしまいたくなるような、…

『変身』フランツ・カフカ著

『変身』フランツ・カフカ著 今さらな、読書にハマってます。 そのむかし、いやいや読まされた感、かすかにアリ。 背後にある、ドイツ観念主義とか、表現主義とか、 それこそ、実存主義とか、なんかいろいろあったはず。 そんなグレゴール・ザムザ君、現代に…

『円朝の女』松井今朝子著

『円朝の女』松井今朝子著 この人の語り口の旨さは『吉原手引草』でお墨付き。 三遊亭円朝にかかわりのあった5人の女の来し方行く末を 円朝の弟子が語って聞かせるという、例の設定。 武家娘、花魁、芸者、芸人の娘たちの悲喜こもごもが、 江戸言葉と噺家特…

『黒の回廊』松本清張著

『黒の回廊』松本清張著 ハイ、女子向けに書き下ろしてみました!って感じの設定が笑えます、 あ、いや、その、ココロニクイです....。笑 え〜、婦人、妾、未亡人、女子大生、オールドミス(笑)、 いちどきに全員が登場してくるから女子なら誰でも楽しめるで…

『ナイン・ストーリーズ』サリンジャー著

『ナイン・ストーリーズ』サリンジャー著 季節が芽吹いてきたからって、なにもいまさらサリンジャーなんか、 って思いましたが、読んでしまいました。 サリンジャーというよりはむしろポール・ニザン派だったので、 実はこの歳までサリンジャーは手付かず...…

『美しい日本語のすすめ』坂東眞理子著

『美しい日本語のすすめ』坂東眞理子著 大上段から「コラァ〜!」と怒られるより、 すれ違いざま「そないな言い方はあかしまへんえぇ〜。」って、 涼しい「和願」で言われたりしたら、 たいていの婦女子は、黙っちゃうでしょう。 ニクいとこ、突いてきよんな…

「雁の寺」川島雄三監督

「雁の寺」川島雄三 1962年 まあしかし、こういう昔の映画における、 思わせぶりな手法の、いかにもグロテスクで エロティックなことといったらないんでしょうな。 俗もきわめれば聖というんなら、 それをもういっぺんひっくり返して、 聖も極めればまた卑俗…

「しとやかな獣」 川島雄三監督

「しとやかな獣」 川島雄三監督 ケーブルテレビの若尾文子特集3作品というセレクションで。 もちろん、過去に何度も見ているけれど、 やっぱり若尾文子がうんといい。 「やらずぼったくり」という語があるが、 彼女の場合、 「しっかりやってぼったくる」と…

「女は二度生まれる」 川島雄三監督

「女は二度生まれる」 川島雄三監督 ケーブルテレビの若尾文子特集3作品というセレクションで。 芸者からホステスへ、寄る辺なき婦女子の職業も、 時代とともに変遷してゆきます....という映画?簡単に言うと。 ちょっとふるい溝口作品だと、俄然、ドロリと…

『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』上阪 徹

『600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス』上阪 徹 目標は一つだけでよい。 必要なものだけ選んだら、 いらないものは潔く捨てて執着せず、 わき目もふらずに前進する....。 意外とこれが出来ない。 ものづくりニッポン、WEBサービスの分野で…

「なにわバタフライ」作・演出三谷幸喜

「なにわバタフライ」作・演出三谷幸喜 おもしろいのに品がよく、クサしながらも傷つけない、 カラっとした笑いにもっていく、 ミヤコ蝶々独特のあのリズム感ある語り、 子供心にもなにか聴かせるものがあって、 関西育ちというのを抜きにしても、 ずいぶん…

『霧の旗』 松本清張

『霧の旗』 松本清張 ほとんどゴネ得の女に土俵際までジリジリと追い詰められ、 あげく、ここ一番の踏んばりどころで あっけなくコロンと寝技を仕掛けられてしまう弁護士先生...。社会的弱者に徹底的にこだわる清張大先生のやさしいまなざし... なワケはなく…

『松本清張傑作短篇コレクション〈中〉』

『松本清張傑作短篇コレクション〈中〉』 「書道教授」が読みたくて....。 この短編の中では一番の傑作。 凡庸なサラリーマンが事件を起こすとしたら、こうでしょう、 という教科書どおりの筋書きに心地よくハマれます。 さすが巨匠、タクミのワザは平成でも…

『三人姉妹』 トニー パーソンズ

『三人姉妹』 トニー パーソンズ 産みたい女、産めない女、産まない女。 なんだか五段活用みたいですが、 3人姉妹それぞれの事情や環境がかわるたんびに、 クルクルクルクルと心境が三者三様、七変化する。 翻訳モノなのに、妙にリアルで共感するところ非常…

『本朝金瓶梅』 林 真理子

『本朝金瓶梅』 林 真理子 手練手管が、そのまんま、立派なひとつの処世術として 確立されていた時代。 クロトもシロトもそれなりに...というのがミソですな。本朝金瓶梅 (文春文庫)作者: 林真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/07/10メディア: 文…