『吉原手引草』松井今朝子著

自分が初めて書いた小説は、書簡形式だった。
なんでかって、そりゃあ、楽だから。
3人称で外堀埋めながら、周りに気い配りながら描写するより、
1人称のなりきり描写の方が俄然、楽でしょう、
という浅はかな動機ゆえのものだったが、
やっぱり感情移入しやすいんだな、書く方も読む方も。

でも、これはそこをもう一歩進んで聞き書きという手法をとっている。
まず、その構成にうなる。
そして、廓ことばにはまり、
吉原のルールにいちいち驚嘆。

作者は長らく歌舞伎の企画に携わっていたとかで、月並みだが、
まるで舞台を見ているような、そんな小説だった。
ほっといてもそのうち、すぐ演劇になるんでしょうか...。
配役が楽しみな感じ!


吉原手引草

吉原手引草