『天城越え』松本清張著

天城越え松本清張

田中裕子主演の映画のイメージの方が強いものの、
ついに原作を読む気になる。

その昔、テレビの映画放送で見たのだと思うが、
映像の方がやっぱり過剰なんだ。
田中裕子の妖しさだけが浮き彫りのように
わたしの幼心にバチーンと強烈だったけど、
清張の筆致の方は、手ぬぐいをかぶった顔の白い酌婦とするだけで
わざとそっけない。
あなたの好みでご自由に、ということか。
なるほど。
さすが。
プロットの一部は持ち込み可なんだ。
確か映画の方では、当時少年だった真犯人は、
長じて弁護士になっていたような気がするが
記憶ちがいだったようだ。
いまだに、私の日本映画のオールタイムベストの上位からぜんぜん、ずり落ちてこない。
大スキな映画なのに、あれ以来とんと見る機会がない。