『ゼロの焦点』松本清張著

ゼロの焦点松本清張

古典に還ろうということで、ゼロの焦点...というわけでもないが。

日本海側の、裏日本のテイストてんこ盛り。
これを機にサスペンス劇場で崖が定番となったとかならぬとか...

さすが古典だけあって、現代ではまったく通用しないしきたりや風習もてんこ盛り。

歳の離れた見合い相手の過去経歴もよく調べないまま即結婚とか、
戸籍を調べに本籍地の役所にいけば誰でも簡単に戸籍が調べられるわ、
昔、駐留米兵相手のパンパンだったとか...

昔は、あけすけでオープンなようでも、
それだけにかえってしっかりとしたセーフティネット
からめとられていたような気がする。
そこから少しでも逸脱しようとする者は、
それこそ暗闇の中に小船を漕いで出て行く
決心をせまられたのであろう。
悲壮な覚悟でもってパンパンだった過去とともに消えてゆく女の潔さと、
ゲームか何かのように自分を切り売りして自己保存に余念のない今の娘と、
さて、どっちが強いのだろうか...。