『ニュー・リッチの世界』臼井宥文著

■「ニュー・リッチの世界」臼井宥文著


オールド・リッチでもニュー・リッチでもない私には何の関係もない話、
といえばそれまでだが、職業人として、これからの市場原理を把握するには大いに参考になる。


「富裕層マーケティング」を理解することは、いわば時代の先取りであり、次世代のサービスやトレンドの発掘・開発につながるという。
たしかに、一般大衆はいつの時代でもワンランク上のライフスタイルにあこがれそれを手に入れようと望む。
OLの消費行動などがその突破口みたいなもので、隠れ家レストランとか癒しの高級リゾートなんて、すでに一般大衆に伝播して久しい。


だから、今はやりの「下流マーケティング」では将来は切り開けないと著者が喚起するのも納得。
日本の企業が最近トレンドにしている「下流マーケティング」なんか、将来の一般大衆のニーズを先取りできないどころか、本当の意味での豊かな国にもなれやしないと。
「日本は本気でモナコになればいい」というのもあながち飛躍した冗談には聞こえない。


そもそも、現在の日本には、新興富裕層のニーズを満たすサービスがほとんど整備されていないのだそうだ。
外資系ホテルの進出ラッシュがいい例で、すべてラグジュアリー仕様で富裕層向けサービスに重点をしぼっている。
当然、日本のニュー・リッチたちはみんなそっちになびいいているわけで、これだけニュー・リッチが続々誕生しているのに、そのサービスを日本人自らが提供できないとは、これは悲しくも不幸なことだ。
レクサスだけが頑張っても、ね。業界横並びの企業文化から変わっていかないと。


ちなみに、今の日本の富裕層5大ニーズは、
「資産防衛」「教育」「エンターテイメント」「アンチエイジング」「セキュリティ」とか。
う〜ん、これか、これなのか!