『古都』 川端康成

『古都』 川端康成


キリッとした文章で、例えるなら、端麗辛口な趣き。
逆にストーリーの方は、京都の地縁と親子の奇縁が錯綜した複雑なテーマ。
あまりにものどごしがするするしているので、
え?なんて?って、ついつい後戻りしつつ辿らなければいけないのが
無性にじれったいのではあるけれど、
むしろこの二つの対比の、妙に気持ち悪い感じというのが旨みなのかしら、と思う。


行間にまで文字がつめこまれて
パンパンに腫れあがったような文章に慣れてしまうと、
たまにこういうのも、乙なもの。
脳みそにパァ〜っとデフラグがかかっていく感じが、妙に心地よい。


さすが、巨匠・川端康成
過去になんども挫折しているので
軽い気持ちで手にとってみたが、意外にも、新発見!


あれですね、むかし、たいしておいしいとも思わなかったものが、
歳をとるにつれてはじめて、
その繊細な味わいと控えめな佇まいを知るところとなり、
あらためてじんわり感動するという、あのパターン。


過去の偉大な芸術作品というものは、たいてい、そうゆうところがあるが、
文学にも、あったんですね、こうゆうの。


でも、真夏の高校生に、みょうがや山椒の類は、
ちょっとムリなんじゃないでしょーか。笑
大人の「新潮100選」として、ぜひ。


古都 (新潮文庫)

古都 (新潮文庫)