『マルガリータ』 村木嵐著
『マルガリータ』 村木嵐著
聖書の「マルタとマリア」の話を基調にした戦国末切支丹の物語。
キリシタン大名とかフランシスコ・ザビエルとか、
キリスト教美術好きで戦国好きな私にはおあつらえ向き!と
ワクワクしながら読んでみたら、女として、なんだか非常に身ににつまされて、
逆に、ザワザワとした読後感。
なんだろ、これ。笑
昔、マルタのような同級生がいた。
カンの鋭さと頭の回転の速さを競うように
話しに夢中な多感な少女たちの輪の中にあっても、
確固たる己を主張するでもなく、
いつも一歩引いた控えめなスタンスが、
なんとなく不可解ではあったけれども、
何かの拍子にさりげなく机の上を片付けてくれたり、
流行っていたフェルト細工が誰よりも上手だったり、
遊びに行くと得意のお菓子作りを披露されたりで、
心の奥底でこの子にはかなわないなぁ〜、と
幼心に直感してはいたけれども、周りの、
「○○ちゃんはいいオヨメさんになるねぇ〜」という賞賛については、
格別、うらやましいとは思わなかった。
むしろ、そういうときだけやっと陽が当たったように
誇らしげに微笑む彼女に、
ねえ、それでいいの?と問うてあげなくては、なんていう
妙な義侠心が湧いてでたりしていたあの頃を昨日のことのように思い出す。
風の便りに、早くに結婚して3人の子供をもうけたと聞いているので、
もちろん、彼女はマルタのような人生をまっとうしているにちがいない。
マルタなんてごめんだわ、私はマリアのように生きるつもり!
のつもりだった私は、ここへきて、
マリアにもなりきれていないことに、ボーゼンとしましたって話し。笑
オチをつけるのだけはうまくなったような気がする.....。
- 作者: 村木嵐
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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